重度訪問介護ヘルパーになるために必要な資格
ALSをはじめとする神経難病を原因とする重度障害者は、医療・介護・障害という公的支援制度を活用して、在宅で自分らしく生活することができます。
特に、障害者総合支援法で定められている「重度訪問介護ヘルパー」サービスは、在宅での生活支援だけでなく、外出を含む長時間の支援が可能です。言い換えると、重度訪問介護へルパーの活用で社会参加が可能になるのです。
この仕事に就くには、ヘルパー資格(看護士、介護福祉士、実務者研修修了、初任者研修修了、重度訪問介護ヘルパー研修修了)が必要です。また、ヘルパー資格があっても、医療的ケアを行えるようにするためには、「喀痰吸引等3号研修」の受講が必要です。
未経験の方でも3日間の研修と数回の実地研修で、「重度訪問介護ヘルパー」と「喀痰吸引等3号」の資格を取得できます。
進行した神経難病患者に対応できる重度訪問介護ヘルパーは、そのニーズに対して圧倒的に不足しています。
その原因は、
- そもそも、この仕事があることを知らない。
- 日常生活のケアを覚えられるか不安
- 医療的ケアができるようになるか不安(※1)
- コミュニケーションができるようになるか不安(※2)
といった、知らないことによる不安です。
資格取得後は、実際に患者の介護に入り、実地で研修します。最初の数回は経験豊富な先輩ヘルパーと一緒に行います。またマニュアルを作ったり、相談できる窓口を用意することで、より早い理解と習得をサポートします。
この仕事に付きたい方に求める資質は、
- 障害者であっても相手を尊重し、当事者と対等な関係を築くことができること
- 患者の体調ややりたいことに気付いて、理解しようとする好奇心があること
- 自分が知らないことでも、患者と一緒にチャレンジしようという気持ちがあること
です。
社会参加の伴走者となることを楽しめる方を求めています。
(※1)
ALSは進行すると食事や呼吸が難しくなりますが、胃ろうを作り経管栄養を摂り、気管切開をして人工呼吸器をつけることで、本来の人生を全うできます。
こうした医療的ケアは、元来は医師や看護師、そして家族にのみ認められていましたが、これが介護から家族を開放できない理由となっていました。
現在は予め定められた研修を受講したヘルパーも行うことが認められています。
(※2)
進行が進むと身振りも会話も難しくなるので、コミュニケーションのとり方が課題となります。透明文字盤や口文字を用いたアナログな日常会話に加えて、現在はICT機器を活用することで健常者と変わらないレベルのコミュニケーションが可能になっています。